古くは江戸時代の出島として知られ、現在でも日本有数の観光地として知られる長崎県。私がそこを訪れたのは高校生の修学旅行の時でした。九州に関して知っているのは教科書に載っているようなことだけ。実際に長崎県というものを目にするまで、それは紙の中の写真でしか無かった。
しかし、ひとたび足を踏み入れるとそこは生き生きとした街が存在する実に魅力的な街だった。だが、実はというと、高校生の私は風景や空気を味わうどころではなかった。なぜなら、当時の私には気になる同級生の女の子が居て、その子のことで夢中だったからだ。
今、思うと少しもったいないことをしたと思う。
一方で、青春とはそういうものかもしれないとも思う。
そんな私だが、一つだけ鮮明に覚えている食べ物がある。
それは「一口香（いっこうこう」）という饅頭だ。
一口香（いっこっこう）
水飴で練った小麦粉の皮で黒糖の飴を包み、オーブンで焼き上げたものなのだが、これが実に美味しい。ひょいっと口にやると、途端に甘く香ばしい風味に包みこまれる。まだ食べた事がないという人はぜひ一度試してみることをおすすめする。
ちなみに、これと良く似たお菓子に「一○香（いちまるこう）」というのがあるのだが、もともとは同じ物が別々の道を歩んだものらしい。
創業者とその長男が早くに亡くなったために次男が店を継承。そこで作られているのが一口香で、長男の息子が新たに立ち上げたお店で作っているのが一○香ということらしい。今では製造方法も異なるようなので、食べ比べてみるのも良いかもしれない。
